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【2024/04/20 20:28 】 |
ナナイ記者の事件簿 FILE No.3
「冒険者たちの黄昏」その3

まえがき~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「痛ったた・・・何よ全くあれくらいで怒るなんて
カルシウム足りないんじゃないの?!・・・ブツブツ。」

「・・・見てたの?」

「まぁいいわ、今回もかなりの長さみたいね、
紅茶を飲みながら見る事をオススメするわ。」

「あとこの前、某槍使いのYちゃんに襲われたから言っておくのだけれど、
この小説はTちゃんが書いたものよ?そこらへん間違えないで頂戴。」

「全く・・・何で私があんな目に・・・ポッチャリメ・・・」

ガサガサ

「・・・ん?」

T 「・・・。」

「・・・あ。」

ッゴ!!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~














「・・!何言ってんの!私があなたから情報を買ったんだから、
このお宝は私のものに決まってるわ!」


 

・・・悪いがおまえだけのものじゃないぞ。
てかここでついに本性を現わしやがったな。


 

「それに私の物って何?これは隠された財宝であって
誰のものでもないでしょ!・・・強いて言えばそう、第一発見者のものよ!
そうだよね、みんな!」


 

うむ、きみの言う通りならそれはマッピーのものだな。
あえて口には出さないが。



かわりに俺は女記者ナナイの方に向き直し、こう言った。


 

「まだわからないのか。おまえ騙されたんだよ。」

 

驚いてこっちを向く女記者ナナイ。
おそらく覆面の下で笑いながらこちらを見る覆面の男。
ククク・・・とか今にも言い出しそうだ。



どう見ても悪人相だな・・・と初対面にも関わらず、
一つも好印象を持てないことにいまさらながら驚かされた。


 

女記者ナナイの熱い視線を受けてることを思い出し、
しぶしぶではあったが説明することにした。当て推量なんだがな・・・。


 

「要するにだ、隠された財宝なんて話は全くのウソで
この宝箱はおまえのものなんだろ、えっと・・・覆面男。」


 

とくに返答も訂正もなかったので、そのまま話を続けることにした。
そしてこの男の名前は俺の中では覆面男となった。


 

「素性は知らないが、おそらく・・・おまえはルート専門の殺し屋ってとこだ。
この箱の中身はその戦利品といったところか。
ここに隠しておいたのが、先日の地震で通路が崩れ
ガレキの下に埋まってしまった。そこでこの呑気な女記者さんを騙して
まんまと掘りだすことに成功したってわけさ。・・・そんなとこだろう?」


 

肯定も否定も無かった。特に返事を期待していたわけでも無かったが。
女記者ナナイをちらと見てみると、さすがに落ち込んだのかうつむいたままだ。


 

「まったく世間知らずにも程があるな。
・・・まあおれたちに言えた柄じゃないがね。
まんまとこの賢い覆面男さんにまとめてだまされたってわけだ。
いったいいくらでこの情報買ったんだ?」


 

・・・どこからも返事が無い。
一人芝居をやっているかの様な感覚に陥ってきた。意外と悪くないかも。


 

「でも誤算があったな、覆面男。俺たちが素直にプレゼントの受け渡しに応じるとでも思ってたのか?・・・この先のシナリオはどうなってるんだ?」

 

自分でも演劇がかったセリフだと思った。あまりに疲れすぎたのか一人芝居に酔ったのか、女記者ナナイに同情したのか・・・。よくは分からなかったが、この不敵な覆面男に怒りを感じていた。

 

急に空気が張り詰めた。覆面男から笑みが消えたからだ。
もともと目が笑って無いんだよ、お前。


 

「・・・身の程を知らない者は長生きできないぞ。
首が飛んでから後悔しても遅いと思うがな。」



 

初めから生かしておく気もないのに、芝居がかった脅し文句をわざわざ吐くところに嫌気がさした。またこいつを嫌う要素が増えたわけだ。

 

・・・怖い、正直怖い。立ち姿を見ただけでも隙がまるでないのが分かる。歴戦の戦士・・・殺し屋か。とても勝てる相手とも思えなかったがもはや引き下がることもできない現実があった。

 

「身の程知らずかどうか、試してみるんだな。今なら逃げても笑わないぜ。」

 

俺の中の数少ない勇気を振り絞り、
売り言葉に対して買い言葉を投げつけながら、
女記者ナナイ・・・の抱え込んでる宝箱と覆面男の間に立ちふさがり、
武器を構えた。ちょうどアッキーとマッピーの間だ。
実力はどうであれ、この立ち位置が俺にとってのいつもの場所なのだ。


 

「ふふん、面白い。もはや言葉は不要だな。吐いた言葉には常に責任が付き纏うということを、思い知るといい・・・あの世で。」

 

・・・正面に立ってみてその凄味が増した気がする
。今ここに立っていられるのは仲間が隣にいてくれるからで、
俺一人であったなら一目散に逃げていただろう。



乗りかかった船だ、小うるさいお調子者とはいえ女は女。
女性を守って仲間と死ぬのも冒険者冥利に尽きるというものだろう。


 

「ごちゃごちゃうるさいよ!これでもくらいな!!」

 

開口一番、炎の矢の魔法を放つアッキー。
彼女が常に先手を取る戦法は俺たちにとっていつものことであり、
今回も例外ではなかった。


 

驚くことに覆面の男は身動き一つしなかった。
身につけているクロークに当たったと思った瞬間、炎の矢は消えていた。



恐ろしく高い魔法防御力だ・・・。歴戦とはいかないまでも
アッキーだってそこそこの実力のある魔法使い・・・魔女である。


 

「すさまじいレジストだね・・・。面白いよ!」

 

どう聞いても強がりにしか聞こえなかったが、
気力が萎えそうになった俺たちを奮い立たせるには十分だった。
魔法防御が高い防具なら、武器にはそれほど強くはないはずだ。


 

マッピーと目で合図をかわし、俺は愛用の槍を、
マッピーはこれまた愛用の斧を握りしめて覆面の男に向かって行った。



その行動線はゆるやかにカーブを描き、
左右から武器をたたきつけるいつもの戦法だ。



短い付き合いであることは前にも記したが、
それでもこなした戦いは並の数ではない。呼吸の合った動きで
敵を翻弄し、その身に渾身の一撃をたたきつける・・・。
武器すら構えず身動きもしない相手には、問題無く決まるはずだった。


 


「あぶない!」
 



・・・一瞬何が起こったのか分からなかった。
気付いた時には俺は数メートルも吹き飛ばされて、
地面に仰向けに倒れていた。



覆面男は武器を構えていないのではなく、装備すらしていなかったのだ。
クロークの為に手元が見えず、アースクエイクの魔法準備を終えた敵に
向かって俺たちは向かっていっていたのだ


 

マッピーがとっさの判断でおれの体を押してくれなければ、
直接食らうことになりその場で足をダメしていただろう。



現に俺をかばったマッピーは吹き飛ばされて身動きひとつない。
マッピーに駆け寄るアッキー。声をかけているが状況は好転せず、その身は動かない。

 

卑怯・・・とは言えない。これもひとつの戦法だろう。
やつの経験が身に着けさせたのであろうか。
しかし、その威力は絶大で、体を起こすこともできずにいる自分がふがいなさすぎた。


 

「たわいもない・・・。」

 

独り言のようにつぶやくと、ナナイ・・・正確には宝箱に覆いかぶさった
女記者ナナイにゆっくりと近づいていく。


 

俺は宝箱の位置からはちょうど反対の方向に吹き飛ばされた為、
盾になることもできなかった。



逃げろ!と声をかけようにも地面に叩きつけられた
衝撃で胸を打ち、声もだせない・・・。


 

彼女は宝箱にしがみつき、うつむいたまま逃げようともしなかった。
その前に覆面男は立ち、今度は杖を構える。


 

「おとなしく私の言葉に従っていれば痛い目に合うこともなかったろうに。
知恵無き身は悲しいな。」


 

と言うや否や、邪魔だとナナイに対し杖を突きだした。
杖先は彼女のわき腹あたりに突き刺さり、今度はナナイが吹き飛ぶ。



苦しむ彼女の首をつかみ持ち上げ、
今度はその杖先を彼女の顔に向ける覆面男。


 

「手間をかけさせたお礼をさせてもらう。
・・・生きたまま消し炭になっていく経験を味あわせてやろう。クフフ。」


 

情けない。気の食わない相手ではあったが、
それでもここまで冒険してきた仲間だ。



それが地面に這いつくばり、やめろと声を出すことすらできずに
彼女が焼かれていく姿を見守るしかできないのか・・・!



何のために冒険者になった。不甲斐ない自分を再確認する為に、
ここまで来たというのか。


 

「情けない姿だねぇ・・・。」



続く

拍手[2回]

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【2012/03/24 20:25 】 | メンバー日記 | 有り難いご意見(2)
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有り難いご意見
無題
おぉ・・・面白い!!ww

よくこんな長いお話思いつきますね!(`・ω・)
【2012/03/24 22:54】| | りずむかぜ #7dbd040677 [ 編集 ]


無題
おもしろいねー・・・
ねーさんは悪役のままで終わっちゃってるけど・・・
【2012/03/24 23:49】| | ねーさん・・・ #8dea5be45e [ 編集 ]


貴重なご意見の投稿














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